Episode7】

鶴瓶・緒方拳主演の
      ひどいタイトルドラマ
                 その1

 

古巣会社のドラマに付く

1983年の秋だったと思う。監督になってから3年半ぐらい経っていた。テレビ東京・歌舞伎座制作の「斬り捨て御免!」シリーズや「眠狂四郎」シリーズのレギュラー監督として20数本の演出経験を積んだころだ。朝日放送・松竹芸能制作の土曜ワイド劇場を京都映画で撮影することになった。

松竹芸能は私が大学卒業直後に2年間在籍していた会社だ。その当時はドラマ制作に進出するとは思ってもみなかったのに、1983年頃には「ザ・ハングマン」シリーズなどのドラマ制作を盛んにやるようになっていた。それが分かっていれば、辞めることはなかったのだが。そのあたりの経緯は別の機会に書くとして、その土曜ワイド劇場作品に私は監督補で付くことになった。監督は東宝出身の児玉進さん。ちなみに監督補というのは、監督経験がある助監督に付ける役職名ということらしい。実質はチーフ助監督だ。

 

鶴瓶・緒方拳主演作品

さて、その作品は松竹芸能所属のタレント笑福亭鶴瓶が主役のサスペンス・ミステリー2時間ドラマだった。鶴瓶にとってはドラマの本格的な主演は初めてということになる。鶴瓶が熱望したのは緒形拳(拳さん)との共演だった。
 当時緒形拳と言えば、大作・話題作に立て続けに主演し、毎年のように日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞していたトップスターだった。その時46歳。役者として最も脂の載りきっていた頃だ。

鶴瓶はテレビ・ラジオの売れっ子タレントとはいえ、緒方拳とはドラマの世界では格がま
ったく違っていた。松竹芸能関係者によると、鶴瓶はテレビ局の廊下で偶々出くわした拳さんに、頭を下げて共演を依頼したそうだ。拳さんはその場で快諾したらしい。いかにも鶴瓶らしいエピソードだが、そうやって成立した作品だった。共演は風吹ジュン・石橋蓮司。ともかく、クランクインを迎えた。

 

クランク・イン前に「お祓い」

ちなみに読者諸兄姉は、「クランクイン」の語源をご存知だろうか?映画初期のキャメラは手動だったのだ。「クランク」と呼ばれた手回しハンドルでフィルムを回していた。そこから撮影を始めることを「クランクイン」と呼び、撮影終了を「クランクアップ」と言うようになったそうだ。私が「斬り捨て御免!」や「眠狂四郎」でお世話になったベテランキャメラマン中村富哉さんは、助手のころは毎日時計を見ながら、一定の速度でクランクを回す練習をしていたそうだ。古い映画を見ると画面が明るくなったり暗くなったりするのは、フィルムの回転にどうしてもバラつきが出てしまうためなんだとか。

さて、撮影所ではクランク・インの日に「お祓い」が行われる。「お祓い」は正式には「修祓式(しゅうばつしき)」というらしいが、ここでは分かりやすく「お祓い」で通すことにする。怪談作品などの前に「お祓い」が行われることはよく知られているが、京都映画では普通の作品でも「お祓い」を欠かさなかった。

 

「お祓い」をサボった祟りじゃ!
 鶴瓶・拳さん作品の数年前に撮影された「日本怪談劇場」でのことだ。クランクイン前の「お祓い」に「アホらしい」と出席しなかった照明助手がいた。なんと、彼はその直後のセット撮影で、二重の足場から転落してしまった。二重の足場というのは、上から当てるライトの置き場として、また音声を上からマイクを出して録るための設備だ。船と呼ばれる6尺×3尺の木製の足場を、グルッとセットの周りに3m程の高さでロープで吊り下げてある。そのままでは揺れるので、天井の梁やセットと材木を使って固定している。その船のうちのひとつが固定されていなかったらしい。それを知らずに、件の照明助手はポイと乗り移ったのだからたまらない。ビユーンと船がスイングして、そのまま3m下に落下した。ドスンと大きな音がしたので行ってみたら、彼が床で唸っていた。あわてて救急車を呼ぶという騒ぎになった。さいわい軽症で済んで、翌日には現場復帰したが。

これは単純に準備班の設置ミスだ。しかし、撮影所の連中はそうは受け取らない。「『お祓い』をサボったから祟ったんや」「神さんが怒らはったんや」という話になってしまう。そういう意味ではクランクイン前の「お祓い」は、撮影所にとっては神聖かつ切実な儀式だったのだ。

 

祝詞にとんでもないタイトルが

その日も鶴瓶や拳さん・風吹ジュンなどの俳優陣、それにスタッフ全員が集まって「お祓い」が始まった。近くの車折神社の神官が、朗々と祝詞を読み上げる。出席者は厳粛な面持ちで静かに祝詞を聞いている。「この度、京都映画撮影所において朝日放送株式会社・松竹芸能株式会社共同制作による、テレビドラマ土曜ワイド劇場……」。その後の祝詞を聞いてたまげた。「……『ヒモ殺し・高級コールガールの殺人』が撮影されることとなりぬ」。ゲッ!?ゲゲなんという祝詞。これでは厳粛な「お祓い」がぶち壊しではないか。たとえ台本の表紙に書いてあるとはいえ、これではポルノ映画のタイトルだ。もう少し言いようはなかったのか?どうせ放送の際はほとんどの作品でタイトルが変わるのだ。案の定、出席者の間から失笑が漏れてきた。鶴瓶が吹きだし、拳さんも苦笑い、風吹ジュンの可愛い肩も震えていた。

 

ひどいタイトルの弊害

そもそもこんなタイトルでは、ロケ場所を借りたり撮影協力をお願いするときに支障が出てしまう。例えば、一流のホテルやレストランを撮影に借りるとする。その交渉の際に「タイトルは?」と聞かれて、「ヒモ殺し・高級コールガールの殺人です」と言わなければならないスタッフの立場に立って欲しいものだ。どういうわけか、テレビ局や制作会社にはそういう配慮が欠けている。そのくせ放送の時は平気でタイトルを変えるのだ。機会があるごとに、「せめて台本段階では『愛と青春の○○』や『夢と希望の××』みたいな美しいタイトルにしてほしい」と提案してみたが、未だに実現していない。

 

したたかな東映

東映京都撮影所で助監督最初の仕事をした時にこんなことがあった。作品は当時東映が推し進めていた500万ポルノだ。タイトルは口にするのも恥ずかしいようなモノだった。ある日、進行のNさんのロケ交渉に同行した。太秦の近くにある住宅街の瀟洒なお屋敷だった。Nさんはそのお屋敷の門を撮影に貸して欲しいと依頼した。こんな立派なお屋敷をポルノ映画の撮影に貸してもらえるのだろうか?私の心配をよそにNさんは言った。「こういう作品です」。台本をバッグから取り出して、そのお屋敷のご主人に見せた。驚いた。全然別の作品の台本だった。タイトルも無難なものだった。ご主人は快くOKしてくれた。帰りの車の中。「さっきご主人に見せた台本だけど……」という私の責めるような口調に、Nさんは平然と答えた。「ホンマの台本見せたら、貸してくれるとこなんか無いわ。しゃーないやろ」「でも映画を見て自分の家と分かったら……」「あんな立派なお屋敷の御主人が500万ポルノなんか見いへんわ。心配いらん」。東映のしたたかさを見た思いだった。

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「高級コールガールの殺人」完成記念写真。前から2列目左から2人目が笑福亭鶴瓶、3人目が風吹ジュン、3人目が緒形拳、4人目が児玉進監督。風吹ジュンの後方が筆者。

 

鶴瓶と拳さんの刑事コンビ

「高級コールガールの殺人~ワナに落ちた非行刑事なぜ彼女は撃ったか?」(放送時のタイトル。以下「高級コールガールの殺人」)の撮影は順調に進んだ。鶴瓶と拳さんのコンビは素晴らしかった。鶴瓶は新米刑事で拳さんは先輩のダーティ刑事という役柄だった。鶴瓶はまさしく、拳さんの胸を借りるという感じで、全力でぶつかった。拳さんもそれに応えてくれた。拳さんは自分の出番のないシーンでも、現場にいて鶴瓶の演技を見ていた。そして、二人の共演シーンは、鶴瓶にやりたい芝居を自由にやらせて、拳さんがそれを受けるという感じで進んでいた。

 

拳さんが鶴瓶を殴る

拳さんが鶴瓶を殴るシーンがあった。拳さんは「本気で殴るぞ」と鶴瓶に云った。普通は殴るアクションと殴られるリアクションのタイミングを合わせて、手を顔に当てないで演技するものだ。後で効果音を加えて、本当に殴ったように見せるのだ。

最初は、鶴瓶は拳さんが冗談を言っていると思ったようだ。「そんなん勘弁して下さいよ」みたいなことを言っていたと思う。しかし、拳さんの目は笑っていない。鶴瓶も拳さんが真剣だと分かったようだ。気合を入れ直した。「遠慮せんと、思いっきり殴って下さい」。

そして、本番。二人の緊迫したやりとりの後、拳さんの平手が鶴瓶の頬を直撃した。鶴瓶の眼鏡が吹っ飛んだ。殴られた鶴瓶が猛然と反発する。芝居とは思えないテンションのカットとなった。一発OKだった。

拳さんはそれまで、鶴瓶の演技にどこか物足りなさを感じていたのかもしれない。本気で殴ることで、鶴瓶の作りものではない芝居を引き出してくれたのではないだろうか。それが、自分を慕ってくれる鶴瓶という後輩に対する、拳さん流の思いやりだったに違いない。やっぱり拳さんは凄い役者だ。

 

緒形拳という役者

私は助監督のセカンドやサードの頃、必殺シリーズ「必殺必中仕事屋稼業」や「必殺からくり人」でも拳さんと仕事をした。結構ざっくばらんで、待ち時間の時はスタッフと冗談を言い合ったりしていた。仕事の後も仲の良いスタッフ、それも助手と遊びに行ったりしていたようだった。照明の林利夫さんによると、助手のころ拳さんが家に泊まりに来たそうだ(「必殺シリーズ秘史」より)。

だが、撮影に入ると、ガラリと替わった。「必殺必中仕事屋稼業」では、表稼業のそば屋の主人と裏稼業の仕事屋を演じ分ける表現力に圧倒された。博奕狂いという人間的な弱さや女房の中尾ミエとの軽妙なやり取りを軽やかに演じた。その人を蕩かすような笑顔が、一瞬にして冷酷な殺し屋の顔に変わる。傍で見ていてゾクゾクした。我々スタッフも日本を代表する凄い俳優さんだという認識は充分あった。だが、当時から拳さんを特別扱いをしたという記憶はない。

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「必殺必中仕事屋稼業」撮影風景。手前左が緒形拳、右が林隆三。右端が筆者。

 

「高級コールガールの殺人」は拳さんとは7年ぶりの仕事だったが、私の名前も覚えていてくれた。私も必殺シリーズの頃と同じ感覚で、あまり拳さんを特別扱いはしなかった。スケジュールも普通に撮影の段取り優先で組んでいた。ある時、たまたま来ていた拳さんの所属事務所・鈍牛倶楽部の国実瑞穂社長に言われた。「皆元ちゃん、緒方を待たせるなんてあり得ないわ」。その日は撮影の段取り上の都合で、拳さんが出ていない1シーンを挟んでいた。国実社長は「こんなことは東京ではあり得ない」というのだ。「なんでや?」と思った。もし拳さんのスケジュールがタイトで、どうしてもやり繰りが付かなければ、「段取りは悪いですが、拳さんの出ているシーンを先に撮って貰えませんか?」と監督に頼む。しかし、拳さんは次の日も京都映画にいるのだ。撮影・演出上の段取りを崩してまで、拳さんの出ているシーンを先に撮る選択肢は私には無かった。京都映画に無かったと言っても良いかもしれない。大スターといえども赤ちゃんや病人ではないのだから。勿論その後、拳さん本人からは何も言われなかったし、私に対する態度も変わらなかった。

余談だが、鈍牛倶楽部の国実社長は私が松竹芸能にいた頃の仕事仲間だった。彼女が大阪の劇団を辞めて東京の「吉田史子事務所」に行くときには、仲間と一緒に激励会を催して送り出した。「高級コールガールの殺人」の頃は、緒方拳を始め、池辺良や小林稔侍を擁する鈍牛倶楽部の社長として、押しも押されもせぬ存在となっていた。私に対するクレームは、昔の仕事仲間という気安さから出た言葉だったのかもしれない。その後も人気スターになった小林稔侍を、スケジュールをやり繰りして私の映画に出してくれたりして世話になった。私が東通企画所属になってからは、代々木上原の東京衣装で衣装合わせをしていた時に、「事務所が近くだから」と、突然訪ねて来てくれたりした。義理堅い人だ。

 

お茶目な拳さん

さて、拳さんにはお茶目なところもあった。「高級コールガールの殺人」の撮影中のことだ。裁判の法廷シーン。拳さんが証人席で証言している場面だった。法廷を後ろからロングで撮るカット。時間は午後1時を過ぎていた。撮影所では普通12時になるとシーンの途中でも昼食を入れる習慣だった。しかしその日は、そのシーンの撮影終了後に東京へ帰さないといけない俳優がいたので、スタッフや俳優さんにお願いして昼食を遅らせていた。
 児玉監督が拳さんに言った。「ナレーションバックの画です。後ろ向きのロングだから口が分からないので、適当に喋ってください」。本番となった。「よーい、スタート」。カチンコが鳴った。拳さんが喋り始めた。「えー、現在午後1時を少し過ぎていますが、……」。あれ、と思った。てっきり、そのシーンの拳さんのセリフを適当にしゃべるものと思っていた。違った。拳さんが続ける。「……これは、このシーンの撮影終了後に、東京に帰さなければいけない俳優さんがいるからであります。そのために、我々はこうして腹を空かせて撮影をしている訳であります」。カットが掛かった瞬間、セットの中は爆笑に包まれたのは言うまでもない。

私は、今でも緒形拳は「日本一の役者」だったと思っている。もっと仕事をしたかった。

 

鶴瓶との「デロデロ7」

実は鶴瓶とも過去に仕事をしたことがあった。松竹芸能にいた頃、朝日放送との共同制作番組があった。「デロデロ7」という他愛ないバラエティ番組だった。
 スタジオに1~7の番号を付けたハコを設置し、その中にゲストの歌手や松竹芸能の所属タレントを入れておく。司会者が宝くじの抽選よろしく回転する的に矢を当て、矢が射止めた番号の箱が開く。そこから出てきた歌手やタレントが持ちネタの歌や芸を披露する。放送時間内で歌や芸を披露出来るのは、7組中5組だけという内容だった。
 その番組にまだ全然売れていない頃の、アフロヘアにつなぎのジーンズ姿の鶴瓶が度々出演していた。度々というのは、その番組の顧問をして頂いていた放送作家の香川登志緒さんとプロデューサーの小元さん、それにアシスタント・プロデューサーの私が相談して、「あいつはおもろいからたくさん出そう」と画策してのことだった。
 今だから言えるが、実は矢を何番の的に当てるのかは、裏で操作できたのだ。せっかく出演した人気の歌手やタレントが、歌や芸を披露出来ない事態を避けるためだ。台本には出演の順番までちゃんと書いてあった。知らないのはお客さんだけということだが、大物ゲストに何もやらさないで帰すことはありえないと考えれば、見え見えの出来レース番組だった。

 

鶴瓶のアパート

そういうこともあって、「高級コールガールの殺人」の撮影中も鶴瓶とは親しくした。上賀茂神社でのロケだった。昼間の撮影が早く終わり、夜待ちとなった。鶴瓶が近所を歩きたいというので、付き合った。普通そんな時はプロデューサーかマネージャーが同行するものだが、その時は何故か私と鶴瓶の付き人だけだった。上賀茂神社の前の道を東にしばらく歩いた。明神川のせせらぎと社家の土塀が美しい道だった。明神川が南に向きを変えたあたりで、突然鶴瓶が云った。「あ、これ学生のとき住んでたアパートや」。そういえば鶴瓶は少し北にある京都産業大学出身だった。いきなり、ツカツカと入って行く。後年の「家族に乾杯」と同じように。アパートに入って、ある部屋の前に立つ。中から麻雀の音が聞こえた。「ゴメンやで」とドアを開ける。雀卓を囲んだ学生たちが、あっけにとられて鶴瓶を見ていた。当たり前だ。人気絶頂のあの鶴瓶が部屋を訪ねて来たのだから。「ここ、おれの部屋やってん」。「あ、その話聞いたことがある」と学生の一人が言う。私はここに至る経緯を説明し、無礼を詫びた。「麻雀、懐かしいな」と鶴瓶。「やりますか?」と学生たち。「お、混ぜてくれるんか?よし、やろ」。撮影再開まで2時間ちょっとあった。私も交えてしばし雀卓を囲むことになった。学生たちにとっては、一生の思い出になったことだろう。

 

風吹ジュンは魅力的な女優

風吹ジュンはもの凄く可愛い女優さんだった。それでいて清楚な色気も感じさせて、当時もっとも輝いている女優のひとりだった。特に目が素晴らしかった。乱れた前髪越しに見上げる目にはゾクッとした。そして、冷たくなりがちな表情を唇が和らげていた。恥ずかしながら、女優の顔をこんな風に表現したのは初めてだ。

所属事務所のガードが堅かったせいか、撮影中のエピソードはほとんど記憶にない。ひとつだけ、彼女にまつわるとんでもない出来事を彼女に話した。風吹ジュンは目を丸くして驚いていた。

 

自宅に無言電話が殺到!

実は、彼女とは直前にも一緒に仕事をしていた。読売テレビ・松竹芸能制作木曜ゴールデンドラマ「目撃者ご一報下さい」だ。風吹ジュンはこのドラマでは主役を演じた。共演は田村亮・夏樹陽子。私はこれにも監督補で付いていた。
 このドラマは、正妻の夏樹陽子に隠れて田村亮と別の家庭を持っている女の話だった。その女・加藤まさ枝を風吹ジュンが演じた。ある日、夫(田村亮)が交通事故で死んでしまう。まさ枝は正妻が事故に見せかけて夫を殺したのではないかと疑うという展開だった。

まさ枝の自宅のシーン。まさ枝が正妻の家に電話を掛けるか迷うという場面があった。まさ枝と電話機とのカットバックが上野隆監督のコンテだった。ダイヤル式の黒電話がアップで写る。上野隆監督はダイヤルの中の白い部分にまさ枝の家の電話番号を書いておきたいと言った。とっさのことだったので、私の自宅の電話番号を書いた。

 撮影は終り、放送当日を迎えた。放送は自宅のテレビで見た。見終わってすぐ、自宅の電話が鳴った。受話器を取り上げて「はい、皆元です」と言ったが応答がない。「もしもし、もしもし」と何度も呼びかけたが、何も応えない。いきなりガチャリと切れた。その直後にまたベルが鳴った。こんども応答がない。しばらく無言電話が続いた。どういうことなのか、意味がわからない。10数度目の無言電話。長い沈黙の後、遂に相手が喋った。若い男の声でボソリと言った。

 

                                 To Be Continued 

 

※【Episode7】後編は来週水曜日アップ予定