【Episode19】番外編
国際映画祭の街カンヌ
+南仏そぞろ歩きの旅
前編
カンヌを訪ねた
先日機会があって南仏のカンヌ周辺を訪れた。カンヌはフランス第2の都市マルセイユから、東に列車やバスで約2時間のところにある、地中海に面したヨ―ロッパ有数のリゾートだ。毎年5月にはカンヌ国際映画祭が催されることで有名だ。数々の日本作品や俳優が受賞している。直近では2023年に役所広司が「パーフェクトデイズ」で最優秀男優賞に輝いた。このブログの読者には、映画好きの方も多いと思うので、「活動屋50年・京都シネマワールド~映画より面白い撮影所秘話」の番外編として、旅の印象を書いてみることにした。
マルセイユ
格安チケットをゲット。12月上旬、中国東方航空便で上海経由マルセイユ空港に着いた。フランス南部マルセイユのあるプロバンス地方には見所がいっぱいあるのだが、今回はそれよりも東部にある、コートダジュールに的を絞ることにしていた。空港からシャトルバスでマルセイユ・サン・シャルル駅に移動する。サン・シャルル駅は、パリとコートダジュール方面とを結ぶ中間駅なのだが、ヨーロッパによくある行き止まり形式(頭端式ホームというらしい)のホームだったので、旅情感を味わうことができた。
時間があったので、市内に出てみることにした。まず驚いたのは、サン・シャルル駅の駅舎だ。石造りの豪壮な建物だった。19世紀末に建設されたという。通りに出ようとして、また驚いた。広く長~い石段が下の通りまで延びている。その階段の両側や途中の踊り場などには、神話を模したと思われる高く太い石柱や様々な石像が聳え、ブロンズ製と思しき凝ったデザインの大きなガス灯が並んでいる。かつて、アフリカや中東、アジアからマルセイユ港に着いた旅人を圧倒するような、フランス帝国の威信を象徴する建造物なのだろう。
マルセイユ駅舎をバックに筆者
マルセイユ駅の石段
階段を降りると、一転して街並みは猥雑さに溢れていた。観光地の気取った雰囲気はなく、生活の匂いがする庶民的な印象だった。アフリカや中東からの移民らしき人々の姿が目に付いた。旧港に出る。広大な船着き場はびっしり船で埋まっていた。遊覧船、漁船、ヨット、貨物船とあまり大きくない船舶用の埠頭のようだった。魚介類を売る屋台が幾つも出ていた。マルセイユ名物は「ブイヤベース」だ。地中海で捕れたての魚介類を目の前で調理する、「ブイヤベースの煮売り」のような屋台を期待したのだが、見当たらなかった。残念!南方にはマルセイユの象徴、ノートルダム・ド・ラ・ギャルド・バシリカ大聖堂が丘の上に聳えていた。
マルセイユ旧港
マルセイユ→カンヌ
マルセイユからカンヌには列車よりも安いバスで移動した。ところが、普通なら2時間ちょっとで着くはずが、3時間以上も掛かった。夜というせいもあるが、バス停がカンヌ市内のどこにあるかも検討がつかないような場所だった。あらかじめ、マルセイユのチケット売り場で情報を仕入れていたから良かったが、そうでなければ悲惨な目に遭いかねないバス旅だった。初めて行く方は、少し高くても列車で行くことをお勧めする。
カンヌ駅舎
カンヌ
さてカンヌだ。歴史好きの私としては、まずカンヌ国際映画祭設立の経緯を書いておきたい。カンヌ国際映画祭の設立は第二次世界大戦直後の1946年だ。だがきっかけは、1930年代後半にイタリアのヴェネツィア国際映画祭がファシスト政府の介入を受け、次第に政治色を強めたことに対抗するために、設立の機運が盛り上がったと言われている。いわば「ファシズムへの反抗」という形で設立された映画祭だ。
その玄関口のカンヌ駅。その名が世界に轟いている国際映画祭を開催する街の駅舎としては、ややこじんまりした印象を受けた。駅前の感じもそうだ。海岸の方に向かって歩き始めた。だが、街には映画館らしきものが見当たらなかった。というか、映画をイメージするものが殆どなかったのだ。映画祭の時は、100本もの出品作品が、朝早くから深夜までメイン会場やいくつかの会場で上映されるという話だったが、映画館が見当たらない。まさか、公共施設だけで上映されるのか?5月の12日間だけの映画の都なのか?だが、カンヌなんだから世界中の映画を上映している映画館が、ズラリと目抜き通りに並んでいて欲しいと思うのは、私だけなのだろうか?
ネットに掲載された「カンヌ国際映画祭の歩き方」によると、どうもカンヌ中心部での出品作品の上映は、メイン会場とビーチ会場、監督週間会場の3ヵ所だけのようだ。だが、映画祭が始まるとフランス国内の映画館でも出品作品が上映され始めるということらしい。カンヌからバスで行ける郊外にはいくつかの映画館があり、そこでも出品作品が上映されるという。カンヌ市街地の映画館のことは「カンヌ内の主な映画館は、映画祭のイベント会場として使用されている」とのみ触れている。カンヌ市街地に映画館がないわけはないのだが、私には見つけることができなかった。
カンヌ駅から海岸に至る市街地
レストラン街
カンヌ駅から海岸方向に歩いていくと、縦横の幾つかの通りにレストランがズラリと並んでいた。冬場のシーズンオフだったが、昼時だったのでそこそこの観光客で賑わっていた。映画祭開催中は世界中の映画関係者やジャーナリスト、それにスター目当ての観光客で大賑いになるのだろう。店の前に掲げてあるメニューは、フランス語と英語表記のみ。本当は名物のブイヤベースを食べたかったのだが、乏しい語学力と乏しい資金の両方を満たす店が見つからなかった。ステーキのランチプレートにした。シーズンオフのせいか、円安でも目玉が飛び出るような値段ではなかったのだ。
愛想のいい初老のギャルソンが、プレートを持ってきた。びっくりするほど大きなステーキがドンと載っていた。食べきれるか?一瞬、そう思うほどのボリュームだった。フランス人が大食いだったことを思い出したが遅かった。しっかりと焼いてあった。やや固かった。ナイフでもなかなか切れない。やっと口に入れると、噛み切れないので、いつまでももごもご口を動かした。最後はゴクリと飲み込む始末だった。だが、味は悪くなかった。驚いたことに全員最後まで食べ切っていた。
クロワゼット大通りと浜辺
レストラン街からすぐに海岸通り「クロワゼット大通り」に出る。この大通りの山側には豪華な高級ホテルがズラリと並ぶ。ここも映画祭開催中は、世界中から集まる賞狙いの映画関係者やスターたちが、競って部屋を確保するのだろう。聞くところによると、カンヌでは国際映画祭と同時に、国際映画見本市も開催されるらしい。従って、各国のバイヤーや配給業者も押し寄せるので、他のヴェネティア国際映画祭やベルリン国際映画祭よりも、はるかに賑わうらしい。海岸通りの南には砂浜が広がる。目の前は地中海のコートダジュール(紺碧海岸)だ。
映画祭開催中はこの砂浜に野外スクリーンが設けられ、映画が無料で上映されるらしい。映画祭公式の行事らしいが、なかなかに粋な計らいをするものだと思った。先ほど触れた「カンヌ国際映画祭の歩き方」を見て頂くと、このビーチ会場の写真が掲載されている。雰囲気がよくわかるだろう。
夏場は多分、このビーチの大半はホテルのプライベートビーチになるのだろうが、冬場なので自由に浜辺で遊ぶことができる。
カンヌのビーチ。映画祭の期間中はこの砂浜に野外スクリーンが設置される。夏場は
ホテルのプライベートビーチで占められるが、パブリックビーチもある。
カンヌ国際映画祭メイン会場
クロワゼット大通りの西端、駅からは7~8分ぐらいのところに、映画祭のメイン会場となる「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ」があった。想像していたよりも、やや小ぶりな建物だった。建物の正面左半分はガラス張りで、右半分に真紅に塗られた階段がある。私が訪れた時は階段下は普通の舗装面だったが、映画祭になると道路まで階段と同じ巾のレッドカーペットが敷かれることになるのだろう。それでもその時は、なんだか殺風景な印象だった。

カンヌ国際映画祭メイン会場「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ」
だが、後からカンヌ国際映画祭の画像を見てみると、階段上の白い大きな壁面に様々な映像が写し出されていて、まるで印象が違っていた。驚いたのは、建物の別の面の白壁にも、すべて同じ映像が写し出される仕掛けになっていたことだ。昼間でも鮮やかな映像だったので、フロントプロジェクションではないと思われる。特殊な写し方をしているのだろう。階段下も、明るい照明に照らし出された、透明なドーム型の屋根に覆われていた。レッドカーペットの周囲には白い山形が幾つもあるテントが配置されて、華やかな雰囲気に一変していた。読者の皆さんは、是非ともネットで「カンヌ国際映画祭会場」を検索し、その画像を見て頂きたい。ここに掲載した写真とは別世界の「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ」を見て、カンヌ国際映画祭の華やかさを味わって欲しい。
ガイドブックには、「『パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ』の前の石畳には、ここを訪れたスターや監督たちの手形がズラリと並んでいる」と書かれていたが、うっかりして見逃してしまった。私には、カンヌ国際映画祭は関係ないと思っていたせいなのだろうか?
「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ」の西側には旧港があり、そのまた西側の小高い丘の上には旧市街があったが、残念ながら時間の関係で私は行っていない。旧市街のシュヴァリエ山にはカストル博物館がある。元々中世の城だったというこの博物館には、世界中から集められた美術品が展示されている。中でもアフリカに関する展示品が充実しているらしい。帰国してからネットでここから見下ろすカンヌの全景写真を見た。絶景だった。流石に世界的なリゾートという見事な景観だった。ここまで足を伸ばさなかったことを後悔した。バタバタと旅行が決まったので、準備不足だったのだ。
この旅行記に掲載した写真は、冬場ということもあり、腕の未熟さもありで、カンヌの魅力を正しく伝えることができなかった。読者の方々はネットでも良いので、他の方の旅行記や写真を見て情報を修正して頂きたい。
南仏、コートダジュールといえば、チャラチャラしたリゾート地のイメージがあるかもしれない。だが今回の旅は、思いがけない文化・芸術や歴史を味わえる場所にも出会った。次回後編はそういったものを中心に書いてみたい。
To Be Continued
※次回は来週水曜日(2025年1月1日)に投稿予定。
お知らせ
スマホではこの後に、私が関知していない広告が掲載されるようです。目障りだと思われる方もおられると思います。お目にふれないようにスペースを作るため、般若心経を入れておきます。
摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時
照見五蘊皆空 度一切苦厄 舍利子
色不異空 空不異色 色即是空 空即是色
受想行識亦復如是 舍利子 是諸法空相
不生不滅 不垢不浄 不増不減
是故空中 無色 無受想行識
無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法
無眼界 乃至無意識界 無無明
亦無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽
無苦集滅道 無智亦無得 以無所得故
菩提薩埵 依般若波羅蜜多故
心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖
遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃
三世諸仏 依般若波羅蜜多故
得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多
是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪
能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰
羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提薩婆訶
般若心経








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